![]() India Navigation/キング GP3214 1979年 (アナログ) |
先週サム・リバーズの名前を出したからには、今週がロフト関係のミュージシャンの紹介になるのは自然の成り行きと言えましょう。India Navigationは70年代のロフト・シーンをずっと追いつづけてきたレーベルですが、重要な録音には、セシル・マクビーの名前がよく見られます。但しこのマクビーさん、ロフト出身の若手というわけではありません。あの有名なチャールズ・ロイドの「フォレスト・フラワー」に、キースやデジョネットと共に参加というキャリアを持ち、その後もファラオ・サンダースのグループやトリバー=カウエルのミュージックINCに参加するなど、この頃最も脂の乗り切ったベーシストでした。 このアルバムはそんな彼の数少ないリーダーアルバムのひとつで、ドン・ピューレン、チコ・フリーマン、ドン・モイエといったクセモノ揃いのメンバーを従えながらも、彼独自の世界を展開しています。ベーシストが自分の個性を出したリーダーアルバムを作るというのはなかなか難しいと思うのですが、A面1曲目は多重録音による自身のベースデュオから始まり、アルコプレイが素晴らしい曲をはさんで、B面最後は、ベースプレイを前面に押し出したアレンジで終わるという見事な構成です。しかも、サイドメンの魅力も十分引き出し、チコ・フリーマンのソプラノ・サックスのソロもいいし、ドン・ピューレンのピアノにいたっては、AB両面でそれぞれリリカル&パーカッシブという彼の両面が楽しめて最高です。知名度は同名の服のブランドには遥かに及ばないでしょうが、フリーからメインストリームまでこなす、安心して聴けるヒトですね。 |
![]() WHYNOT PA-7120 1975年録音 (アナログ) |
このWHYNOTはトリオ・レコードが作ったレーベルで日本に紹介される機会のない新人や埋もれた人を積極的に発掘していこうという当時としては画期的な存在でした(ただ、残念なのは初めに出た6枚はジャケットが全て同じデザインだったこと・・・よっぽど予算がなかったのか・・・)。フュージョン(初めクロスオーバーと呼ばれてましたっけ)一色の70年代半ば、AIRというグループはいいらしいという話を聞いたことはありましたが、アホな私は、どうせフュージョン・グループだろうと勝手に決め付けて無視しておりました。 ところがどっこい、偶然ジャズ喫茶で聴いて、もうビックリ。これは凄い実力の持ち主の集団ではありませんか。残念ながら故人となった2人、ベースのフレッド・ホプキンス、パーカッションのスティーブ・マッコールも当然凄腕なのですが、特にマルチリード奏者のヘンリー・スレッギルの強烈な個性が際立っていいですねえ。冒頭いきなり怪しいタンゴのリズムにのって出てくるテナーの音色のいかがわしいぐらいの臭さはまさに私好み!。その後の曲のバリトンの迫力ある音色もいい!B面のアルトの疾走感もいい。最後の曲の幽玄な感じのフルートもいい。どの楽器もそれなりの魅力が醸し出されていいんだなあ、もう。AIRなきあとも、彼の存在はずっと注目すべきですな。 |
![]() WHYNOT IPA-7155 1976年録音(アナログ) |
これまたWHYNOT盤が初吹き込みとなるシカゴ出身のロフトの若手(当時ね)です。ニューヨークを東京とするとシカゴは私の中では大阪のイメージです。というのはシカゴ出身ミュージシャンが個性豊かで独特の泥臭い芸風(?)を持っている人が多いことによるのですが。しかしシカゴの伝説的テナー、ヴォン・フリーマンを父に持つチコの場合、なんか都会的なスマートさというイメージでニューヨークが似合うような気がします。彼はこのデビュー盤の後、次々とアルバムを出しまくり、多芸多才ぶりを発揮するのですが、私はそんなに彼のアルバムを持っていません。同じ頃、活躍していたデビッド・マレイのファンだったもんで・・・・。確かにチコは、激しさと優しさ、伝統と革新、緻密さと自由を併せ持ち、いろいろな楽器をこなすなど多才なんですが、マレイの一本筋の通った泥臭さ、奔放さが好きな私にとっては、なんとなくトータルなイメージが「中途半端やなあ」という感じがしてならないんですよ。私、洗練されたお利口さんはあんまし好きではないんで・・・。ま、これはトータルなイメージでの話で、1枚1枚のアルバムは今聴いてもいい演奏が多いですよ。 さて、このアルバム、サイドメンがまあ凄いこと。ピアノにAACMの総帥ムハール・リチャード・エイブラムス、ベースが前述のセシル・マクビー、そしてAIRからヘンリー・スレッギル、スティーブ・マッコール等等。注目はB面でMorningPrayerは、後のアルバムでも再演されますがAACMの影響も見られる東洋的、牧歌的な演奏。Pepe'sSambaも後に再演されますが、こちらは彼のハードなテナーの魅力をたっぷり楽しませてくれる演奏と、その後の彼の道が予見される2曲ですな。 |