なぜか気になるこの1枚vol.29

お次は、ソプラノ・サックス・・・かな?


OUT BACK/JOE FARRELL


CTI/キング
SR3324
1971年録音
(アナログ)
 バリトン・サックスの次はソプラノ・サックス特集・・・・といっても近年マルチ・リード奏者ばっかりで、ソプラノ1本で勝負って人は見当たりませんね。スティーブ・レイシーぐらいかな?でも、手元にレコード残ってませんでした。で、まず紹介するのがジョー・ファレルさん。ひょっとして、ソプラノってイメージが湧かない方もおられると思いますが、70年頃には、ファレルといえばソプラノだったんです。
 このアルバムでも、4曲中、3曲がソプラノ・サックス、タイトル曲のみがフルートによる演奏です。私はこの人のフルートも好きなんですけどね。dsは御大エルビン・ジョーンズ。ファレルはこの当時、エルビンのグループに参加しております。オリジナル曲での彼のソプラノったら、もう、奏法のみならずテーマまでコルトレーン風です。ですから、エルビンのドラムにまあ、合うこと!
 そして、pはチック・コリアにパーカッションがアイアート・モレイラ。チックのオリジナル曲でのファレルのソプラノ、そしてチックのエレピは、もう、あの「リターン・トゥ・フォーエバー」での演奏を彷彿とさせます。そう、この録音の3ヶ月後にあの歴史的名盤が生まれるんですよ。当時のジャズ喫茶は、RTFと並んで、このアウトバックも人気盤でしたね。ジャケットもカッコイイし、確か録音がいいことでも有名だったと思います。




SUPER NOVA/WAYNE SHORTER


BLUE NOTE/キング
GXF3019
1969年録音 (アナログ)

 続いて、これまたジャズ喫茶での人気盤の登場です。【定説】では、マイルス・グループにいたショーターが「ビッチェス・ブリュー」に対抗して作ったアルバムということです。上記アルバムのチック・コリア(ドラムとヴァイブで参加)、アイアート・モレイラのほかにジョン・マクラフリン、ミロスラフ・ヴィトウス、ジャック・デジョネットなどビッチェス・ブリュー組も多く参加しています。
 でも、この中身を聴くと、【定説】なんてどうでもよくなる素晴らしさです。とにかく、ショーターの熱いソロ(全編ソプラノ・サックスで通しています)が思う存分に楽しめるんですから。
 ショーターはこの後、ジョー・ザビヌルとともにあの伝説的グループ、ウェザー・リポートを結成するんですが、この「スーパー・ノヴァ」を聴いた後、ウェザー・リポートを聴いて私はがっかりしました。だって、ショーターの熱いソロがないから欲求不満になっちゃうんだもん。なんか評論家が「ソロ/非ソロ」とかなんとか、わけのわからん理屈こねてるのも気に入らなかったですね。しかし、ウェザー・リポートに受け継がれたブラジル志向はこの頃から始まりました。ショーターの奥さんがブラジル人だからだそうで、それまでオカルト志向だったのが、このアルバムからブラジル音楽が入ってきており、私としてもオカルトよりこちらの方がずっと好きですね。そうそうソニー・シャーロックのギターも強烈ですよ。
 




STREAMS/SAM RIVERS


Impulse/東芝
IMP-88143

1973年録音(アナログ)
 これはジャズ喫茶では不人気盤だったでしょうな。なにしろフリー系の演奏でA面、B面を通して1曲なんですから。考えてみたら、このサム・リバースさん、なかなか不幸な道を歩いてきた人です。上記ウェイン・ショーターの前任者としてマイルス・グループに在籍し、初吹き込みが「マイルス・イン・トーキョー」これがショーターと比較されて、みんなからボロクソにけなされました。(私はあの演奏、悪くはないと思ってますが)
 それから、ロフトに自分のスタジオを作って開放し、若手ミュージシャン育成のために尽くしたのに、最後は仲間とけなしあいになって終わり。あげくのはては演歌テナーのサム・テイラーと混同されるわ(←そらアンタだけやで)もうほんまにつらい人生ですねー。
 このアルバム、モントルーでのライブで、リバースはテナー、フルート、ピアノ(?!)と持ち替え、ソプラノが登場するのは最後の10分だけです。なんで、ソプラノ・サックス特集に出したかというと、だって、ジャケットの写真でソプラノ持ってるんだもん・・・・。
 このリバースさんのテナーって、あんまり音にメリハリがなく、ソロもなんか切れ目なくうだうだ続く感じで、私の好みではありません。でも、このアルバムのように、長時間に渡って熱く吹き抜く演奏エネルギーたるや凄まじいものがあります。やっぱし、この人の場合、サイドメンとして、ちょろっとソロを聞かせるよりも、ワンホーンでひたすら吹きまくってみせるのが正解のようです。ベースのセシル・マクビー、ドラムスのノーマン・コナーズの変化に富んだ、エネルギッシュなサポートがリバースのソロを効果的に盛り上げてくれています。