なぜか気になるこの1枚vol.23

80年代期待の星だったヒト・・・テナー特集4


SORAN-BUSHI,B.H/BILLY HARPER


DENON YX-7522-ND
1977年録音
(アナログ)
 テナー特集第4弾は、今までよりチョット若い人の紹介です。若いといっても、私がジャズ喫茶に通っていた70年代後半の話ですけど、当時、凄い新人が現れたと評判だったのが、この人、ビリー・ハーパーです。特に「ブラック・セイント」というアルバムはよくかかりましたね。フリーが下火になり、ちゃらちゃらしたフュージョンが流行っていた時代でしたから、彼の黒く燃えるようなブローに「久しぶりに骨のあるジャズが聞けた」と、誰もが満足したものです。
 また、彼は日本に何度も来てまして、このアルバムも、来日時に制作されたものです。日本を代表するワーク・ソング、北海道民謡ソーラン節をアレンジしたものですが、ジャケットと違って、帯や日本語ライナーノーツには、A面2曲目の「ラバー・フッド」をアルバムタイトルにしています。やっぱり日本人からするとソーラン節というタイトルは、なにかこそばゆい感じがするんでしょうか、寺内タケシのエレキ津軽じょんがら節みたいに・・・。でも、ハーパー自身の渋い声での合いの手も入ったこの演奏は、間違いなく第1級のジャズであり、日本の民謡という先入観がなければゴスペル・フィーリングあふれる演奏ととらえられます。当時は、80年代は絶対この人の天下だと思っていたんですが、その後どうなっているんでしょうか?




MANHATTAN PLAZA/RICKY FORD


MUSE/キング K26P 6059
1978年録音(アナログ)
 上記ビリー・ハーパーや、次にとりあげるジョージ・アダムスほど強烈な個性はないものの、このリッキー・フォードも、彼らと同じく、80年代の活躍を嘱望された若手テナー・マンでした。国内盤の帯には、「伝統的なルーツとコンテンポラリーな性格をブレンドしたプレイで80年代を背負い投げするジャズ・ウルフ」という全くわけのわからんコピーをつけられていましたが、ま、要するに、そんなに目新しいことはしてないけど、めっぽうイキのいい若手主流派テナーという位置づけですな。
 トーンは男性的で力強い私好みの音、そして、スローナンバーもメロディアスに唄いあげる実力を持っています。実質上のデビュー・アルバムである本盤では、師匠格のジャッキー・バイアードがピアノで参加しており、美しい演奏を聞かせたうえに、凝った曲も3曲提供しています。個人的には、もっとフォードがばりばり単純に吹きまくるのを聴きたいななんて思ったりしますが、どっちかゆーと、この人メロディアスなフレーズに強いのかな?彼のアルバムは2枚しか持っておらず、これまた現在どうしてるのか知りません。




LIFE LINE/GEORGE ADAMS DON PULLEN QUARTET


TIMELESS/RVC RJL8061
1981年録音
(アナログ)
 やっと出ました!!ビリー・ハーパーが完全燃焼ブロウなら、このジョージ・アダムスのプレイは破壊的肉感ブローともいうべきでしょうか。私がジャズと離れる80年代初めに出てきたこの怪物テナー、大好きだったにもかかわらず、オススメの1枚のコーナーで紹介しなかったのは、偉大なるアルバート・アイラー様をアルファベット順でトップに置きたかったというとっても我儘な理由からでした。えーん、ゴメンなさい。お詫びに、次回はジョージ・アダムス3連発特集です。
 さて、ドン・ピューレンとの双頭カルテットの傑作がひしめくタイムレスの諸作中、この1枚に選んだのが、このアルバム。きっとほとんどの人は別のアルバムを代表作にあげるんでしょうが、私が選んだその理由はただひとつ!!このアルバムだけアダムスのヴォーカルが2曲も入ってるから・・・これだけ!!
 わたしゃ、ミンガス・グループ時代から、あのヘタウマ風ブルース・シャウトが気になって気になってしょうがなかったんですよ。だから、彼のヴォーカルが入ってないアルバムには我慢ができないんであります。逆に、彼のヴォーカルが入っていたら我慢できないという人もいますが・・・・。ということで、次回もまたアダムスです。