なぜか気になるこの1枚vol.16

ちょっと渋めのお兄さん(ヴォーカル特集3)


Livin'High Off Nickels and Dimes/JOE LEE WILSON


Oblivion od.5
1972年録音
(アナログ)
 前項、ベティ・カーターの男性版というべき人が、このジョー・リー・ウィルソン。ロフト出身のヴォーカリストという珍しい存在です。彼の特徴は、器楽的な唱法およびテクニック抜群という点ではベティと共通していますが、その一方でブルース・フィーリングも併せ持ち、なかなかいい雰囲気出してます。
 
このアルバム、国内盤では確か、「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」というタイトルで発売されていたはずですが、私もこの曲が一番好きです。但し、ブルース・フィーリングといっても彼の場合、私好みの泥臭いブルース・シャウトではなく、かなり革新的な歌い方ですがね。
 ところで、最近流行りの漫画「笑うせえるすまん」を見るたびに、このジャケットを連想してしまうんですよ。思い出して見れば、暗いジャズ喫茶の店内で照明に浮かび上がるこの顔はかなりインパクトがありましたね。




SINGS/BILL HENDERSON


VEE JAY/テイチク UXP-99-JY
1959年録音
(アナログ)
 ビル・ヘンダーソンといえば、アートブレイキーと共に来日して、日本中にブームを巻き起こしたヒット曲「モーニン」を歌ったことで有名です。ちなみに私が「モーニン」を初めて聞いたのは、万博で来日したセルジオ・メンデス&ブラジル66の唄でありましたが。その「モーニン」が収められたのがこのアルバムです。
 彼は、ジョー・ウィリアムスをもう少し洗練させたようなタイプでして、ジミー・ラッシングやジョー・ターナーみたいな人ばかり聴いていた私にとっては淡白に聞こえます。ところが、ある評文曰く「ブルージーでアクが強い」・・・・・・うーん、私の感覚と世間のそれとはかなりズレがあるんですなあ。
でも、このアルバムは前述の「モーニン」や「バイ・バイ・ブラックバード」、「バッド・ラック」などお気に入りの曲がたくさんあって好きですよ。で、特に気になるのが「フリー・スピリット」という曲。これは上記ジョー・リー・ウィルソンのアルバムにも別の曲が使われていたノーマン・マップという歌手の曲です。ラムゼイ・ルイスのピアノもゴキゲンで好きなんですが、他の女性歌手も唄っていた記憶があるのにどうしても思い出せません。うーん、気になって夜も眠れない・・・。




SINGS/MARK MURPHY


MUSE MR5078
1975年録音(アナログ)
 上に続いてSINGSという同名アルバムの登場です。このマーク・マーフィーという人、一応黒人歌手ですが、とても洗練された感覚の持ち主です。男性歌手はブルース・シャウター一辺倒という私の好みとは全く違うのですが、もう、これは絶対オススメですよ。
 ジャズ喫茶でこのアルバムを聴いて、初めて「ああ、モダン・ジャズ・ヴォーカルってこんなにカッコイイもんだったのか!」と思ったものです。
 まず、このマーク・マーフィーさん、唄がべらぼうに上手い!!そして、D・マシューズの編曲とD・サンボーンやブレッカー兄弟の演奏がまたカッコイイこと!!選曲もいいですねえ。コルトレーンの「ネイマ」や、ハンコックの「処女航海」、ミルトン・ナシメントの曲まであります。さらに、何より極めつけは、フレディー・ハバードの「オン・ザ・レッド・クレイ」。なんべんも言いますが、ほんまにもう、カッコイイ!!

 ジャズ・ヴォーカルに対し古臭いイメージしか持ってない人は、絶対聴くべし!!後悔はさせませんぞ。