なぜか気になるこの1枚vol.5

お次はAACM


COMME A LA RADIO/BRIGITTE FONTAINE,ARESKI
ART ENSEMBLE OF CHICAGO


SARAVAH/日本コロムビアYZ-142-SH
1970年録音(アナログ)
 前回の予告どおりジャズ・ミュージシャンと不思議な女性ヴォーカルの組み合わせです。
 邦名「ラジオのように」。アメリカで売れなかったアート・アンサンブル・シカゴ(以下AEC)が渡仏し、パリで大ブレイクしたときにシャンソン歌手ブリジット・フォンテーヌと吹き込んだのがこのアルバムです。AECもジャズの中では異端派ですが、このフォンテーヌさんもかなり変わっています。一度聴いたらもう忘れられない声と歌い方であります。変わり者同士の異種格闘技ですが、これは立派に成功しているでしょう。AECの方はいつもの演奏をやや抑えて歌によりそっているところもあるのですが、妙に合ってるんですよね、これが。
 AEC紹介するのに、よりによってこんなアルバム出すなよってジャズファンに怒られそうですが、私は気に入ってます。今でも気が向いたとき取り出して聴くことがあります。当時はジャズ喫茶ではなく、FM放送のしかもジャズ以外の音楽番組で聴いたことがあるかな。というわけで今回はECMからAACMにジャンプと相成りました。




THE GREAT PRETENDER/LESTER BOWIE


ECM- 1-1209
1981年録音(アナログ)
 AECのメンバー、レスター・ボウイのリーダー・アルバム。これは、私、ほんまにもうメチャメチャ好きです。タイトル曲は昔懐かしいポップス(プラターズだったっけ?)を下敷きにしたものですが、いやあ、アメリカ的な伝統をユーモアで味付けした構成、上手いですねえ。子供の頃、結構テレビやラジオでアメリカンポップスが流れていたから、私でもこのへんの機微がわかるのかなあ?
 長ーーい、前フリが終わってしゃがれ声に続き、ボウイーの歌うというより語るようなトランペットがテーマを吹き始めバックコーラスがつく・・・このへんは何回聴いても嬉しくて体がよじれちゃいますね。ヘッドホンつけてこれを聴いてたら、嫁はんに「ニタニタしながら体揺すって気持ち悪い」と言われてしまいました。
 ボウイーはこの後、ブラスファンタジーというブラスバンドみたいなグループで同じような方向の演奏をしています。AVANT POPというアルバムの「ブルーベリー・ヒル」でもこの曲と似た懐かしさを感じました。




SIGHTSONG/MUHAL RICHARD ABRAMS


BLACK SAINT/徳間JC-3503
1975年録音(アナログ)
 アート・アンサンブル・オブ・シカゴが所属するシカゴ黒人前衛派の集団AACMの総帥がこのムハル(酋長の意)リチャード・エイブラムスです。この人って前のアルバムではコムツカシイタイトルつけたり、詩の朗読とかしたりしてたんで、このマラカイ・フェイバース(AEC)とのデュオによるアルバムもリクツっぽい演奏かなと思っていました。
 ところがどっこい、まず曲のタイトルでびっくり。冒頭からW.WとJ.Gという2曲が並んでいるではありませんか。W.Wはウィルバー・ウェア、J.Gはジョニー・グリフィンというシカゴ出身のジャズメン2人にそれぞれ捧げられた曲なのであります。しかも演奏はというと、結構スイングしてるし、何よりも意外なのはメロディックにして明るさと透明感のあるピアノの音です。勝手に持ってたイメージとかなり違ってたし、また耳に心地よい演奏でもあり、気になる1枚となっております。

 やれやれECMとかシャンソンに行ったりして一時はどうなることかと思ったけど、やっとここまで戻したぞ。次回は、まあ、予想通りの展開となることでせう。