黒部五郎岳


通称西銀座ダイヤモンドコースとよばれる縦走路に位置するが、他の北アルプスの縦走路より人はずっと少ない。しかも天気がよければ展望抜群の稜線漫歩が楽しめ、お花畑も充実と、おすすめの花の山旅コースだ。

ただ、そんなに危険な個所がないのにもかかわらず、登山ガイドでは中級者向けとなっているのは、ひとえにその行程の長さに因る。特に黒部五郎小舎〜太郎平小屋間は距離があるのに途中に小屋がなく、眺めがよい反面、雷や悪天候に見舞われたら避難場所がない。花を見ながら歩くには最低山中3泊4日は必要だし、やはり初心者向けではないかもしれない。

下記の記録は、山中5泊6日で新穂高温泉から黒部五郎岳〜太郎平〜薬師岳〜五色が原〜室堂まで縦走したときの一部である。


アプローチ

新穂高温泉から入山の場合→JR高山駅からバス1時間25分新穂高温泉下車

折立から入山の場合→富山地方鉄道「地鉄富山」駅から45分「有峰口」駅下車
有峰口からバス1時間15分折立下車(→ここから太郎平小屋までは約5時間)



8月7日 《曇り後雨》新穂高温泉〜鏡平小屋

 JR高山駅からバスで1時間20分で登山口新穂高温泉着。無料温泉に入り、登山届けを出して出発だ。本来は槍穂高の雄大な姿を眺めながら歩けるコースなのだが、この日は台風が接近中でガスと雨にたたられ、評判の展望がとうとう見られなかった。【鏡平小屋泊】


8月8日《晴れ後雨》鏡平小屋〜黒部五郎小舎

この日は午前中だけ奇跡的な晴れ。早朝カメラを持って鏡池に行くと、池のまわりはにわかカメラマンで鈴なり。池に映る槍穂高がここの売り物だ。

  鏡平小屋6:00発 、そして、 三俣蓮華岳(10:45着) までは、山なみの展望よし、高山植物のお花畑よしと、もうるんるん気分で歩けた。今年は残雪が多く、花の開花時期が全般に遅いようで、どこに行っても、ハクサンイチゲが大満開。双六付近には、開花の早いはずのクロユリの群落もあった。正確にはミヤマクロユリかな。初めて実物を見たけど、地味な花だね。
三俣蓮華岳で360度の大展望をおかずに昼食。しかし、急に槍が岳がガスにつつまれ始めたと思ったら即、雨。台風接近中でもあり、午前中の晴天だけでもありがたく思わないといけないか。

12:50黒部五郎小屋 着。小屋の前は、一面コバイケイソウの大群落だ。しかし、花がない。今年は花がみんな遅いから、これからだろうなと思いきや。小屋の人の話では、コバイケイソウは、2、3年に一度しか花をつけず、去年が満開だったから、今年は花は咲かないだろうって。知らなかった・・・。
 本来ならカメラを持って小屋周辺のお花畑を散歩するとこだけど、風雨は、ますますひどくなり、後は早々とふとんをしいて昼寝だ。はじめは空いているから、一人ふとん1枚でいけるかなと思っていたら、風雨が強まるとともに、テント場からの撤退組も含めて、どんどん人が来る。太郎平方面から来た人によると太郎平〜黒部五郎岳はほとんど稜線上のコースで、風で吹き飛ばされそうになるという。この時点でわたしゃ、早々と連泊を決めちゃったもんね。【黒部五郎小屋泊】

8月9日(日)《暴風雨》黒部五郎小屋にて停滞

 昨夜から今朝にかけて台風10号襲来。もう、小屋が壊れちゃうんぢゃないかと思うぐらい揺れまくって、あんまり寝られなかった。
 この黒部五郎小屋は、なかなか雰囲気がよくって食事もグー。連泊者にはメニューを変えてくれる心配りがうれしい。1日、小屋でのんべんだらりと停滞するてのも結構いいもんだ。【黒部五郎小屋泊】

8月10日(月)《快晴》黒部五郎小屋〜薬師岳山荘

 まさに台風一過とはよくいったもんで、今日は快晴。連泊して、ゆったり体を休め、山の生活にもなじんだせいか、体調も最高で、登り坂でも、きついとか、しんどいとか感じたことは全くなく、どんどん足が進む。

 黒部五郎岳頂上からの眺めはホント絶景!!また、なだらかに続く稜線からは、山なみの展望、そして、足元に広がるお花畑と、もう1日中、るんるん気分の雲上の散歩だった。昨日、このコースを暴風雨の中無理やり行った人の気が知れない。連泊して大正解だった。天気のいい日の稜線歩きは、言葉では言い尽くせないほどの満足感を得られる 天気に恵まれたから余計にそう思うんだろうけど、この黒部五郎〜太郎平のコースは、眺めよし、お花畑よし、しかも歩きやすい、超おすすめコースね。難点といえばずっと稜線上で途中に小屋もないので、水の補給ができないこと、それに雷が怖いことぐらいかな?
黒部五郎岳周辺はとにかく残雪が豊富で、その雪が消えるそばからどんどん高山植物が花を咲かせていく。あちこちで立ち止まり、シャッターを押したくなるので、嬉しいスローペースだ。
太郎平には、ハクサンイチゲの大群落の中の道を通っていく。向こうに見える雄大な薬師岳の姿を見ながらお花畑の中を通るのはなんともいえない喜びだ。

 それから、この日は、天気がよかっただけに、高山蝶がよく見られた。おなじみのベニヒカゲはいたるところで見られたし、地味なタカネヒカゲも今回、初確認。少し下った樹林帯では、カラスアゲハが青い金属光沢の羽をキラキラ光らせて奇麗だったし、どこでも目立つアサギマダラもふわふわ飛んでいた。

 あんまり調子がよすぎて、 5:30に黒部五郎小屋を出 て、山や花など結構よそ見しながら歩いたのに、宿泊予定の 太郎平小屋へ12:00前に到着 してしまった。黒部五郎小屋で同宿だった人は、連泊の遅れを取り戻すために、一気に薬師岳山荘まで足を延ばすという。わたしゃ、もともと予定などないから、日程の遅れなんか関係ないのだが、昼食後ヒマだったし、翌朝、薬師岳頂上でご来光が見られるという言葉につられ、ついつい 薬師岳山荘(14:15着) まで歩いてしまった。
 しかし、ここに泊まったおかげで次の日は五色が原まで一気に歩くことになり、とてもしんどい目に遭った。普通は、太郎平小屋に泊まり、余裕があればそこから薬師岳を往復して、折立から帰るというコースをとるべきだろう。【薬師岳山荘泊】


高山植物リスト


【鏡平〜双六岳〜黒部五郎岳〜太郎平】1992.8/7〜8/10

アオノツガザクラ、イワイチョウ、イワウメ、イワギキョウ、イワツメクサ、エゾシオガマ、キヌガサソウ、キバナシャクナゲ、クモマスミレ、クモマニガナ、コイワカガミ、コバイケイソウ、ゴゼンタチバナ、ジムカデ、タカネヤハズハハコ、タテヤマウツボグサ、チシマギキョウ、チングルマ、ツマトリソウ、ニッコウキスゲハクサンイチゲ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンフウロ、ミツバオウレン、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクロユリ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマリンドウ、ヤマハハコ、ヤマルリトラノオ、ヨツバシオガマ

【参考】

【薬師岳〜五色ヵ原〜室堂】1992.8/11〜8/12

アオノツガザクラ、イブキジャコウソウ、イワイチョウ、イワウメ、イワギキョウ、イワツメクサ、ウサギギク、エゾシオガマ、コイワカガミ、コバイケイソウ、ゴゼンタチバナ、シナノキンバイ、ジムカデ、タカネニガナ、タテヤマウツボグサ、タテヤマリンドウ、チシマギキョウ、チングルマ、トウヤクリンドウ、ハクサンイチゲ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンチドリ、ハクサントリカブト、ハクサンフウロ、ミツバオウレン、ミネズオウ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクワガタ、ミヤマコウゾリナ、ミヤマコゴメグサ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマリンドウ、モミジカラマツ、ヤマハハコ、ヨツバシオガマ、


花のページに戻るもどる