標高では富士山に次ぎ我が国第2位の山であるが、槍穂高に比べると一般に知名度が低く、結構地味な存在である。しかし、植物に関しては白馬岳に匹敵する高山植物の宝庫で、ここにだけしかない特産種も多い。
昔は、交通の便が悪く、小屋も北アルプスに比べるとずっと整備が遅れていたが、今は随分と改善されている。昔の素朴な小屋が懐かしい人には少し寂しいかもしれないが・・・。しかし、関西在住の者にとっては、北アルプスにくらべると、やはり遠くて行きにくいことには変わりがない。
コースは特に危険な個所はないが、下記の白峰三山縦走コースは、大門沢のだらだらした下りがうんざりするほど長く、登山ガイドブックによれば体力勝負の中級者向けコース。花を見るのが目的なら、北岳往復にすればもっと楽だ。行きは大樺沢右俣からお花畑の中を小太郎尾根まで登り、肩の小屋に泊まって北岳往復。そして帰りは下記の草すべりコースを下って広河原に戻るようにすれば、行きも帰りもそれぞれ違うお花畑をたっぷり楽しめるだろう。
アプローチ
JR甲府駅から山梨交通バス乗車約2時間、広河原下車
| 前夜、松本に泊まり、始発で甲府へ。そこからバスに乗ること2時間15分、やっと登山口の広河原に到着。アルペンプラザというこぎれいな施設で昼食後、大樺沢二俣まで歩く。 コマドリ、ミソサザイの声が頻繁に聞こえてくる。今年は雪渓は少ない。二俣でザックを降ろし一帯の高山植物の写真を撮りまくる。ここは眺めもよく、花も多い絶好の休憩場所だ。タカネグンナイフウロが特に目につく。 その後、白根御池小屋に向かうが、こういうコースをとるのは私ぐらいのものなのでご注意を。普通は、ここまでくれば大樺沢右俣を登って北岳肩の小屋へ向かうか、直進して八本歯のコルを経由して北岳山頂に向かうコースをとる。白根御池小屋に向かうのなら、広河原山荘をすぎたあたりで分岐があるので右手の樹林帯の道を行くことになる。 私が変則コースをとったのは、このあたりの高山植物をじっくり見たいことと、白根御池小屋に泊まって早朝バードウォッチングをしたかったからだ。頂上付近まで登ってしまうとこのあたりで見られるような亜高山帯の野鳥はいなくなる。二俣〜白根御池小屋間は、高山植物も多いし、鳥も多く、カメラや双眼鏡を持ち替えるのに忙しい。小屋に荷物を預けた後、もう一度、双眼鏡を持ってバードウォッチング。(白根御池小屋泊) |
| 白根御池小屋からもう一度バードウォッチングをしながら、大樺沢二俣に戻る。二俣からは、右俣コースを登る。樹林帯あり、雪田あり、明るく広いお花畑ありのとっても楽しいらくちんコースで道草したくなるようなところがあちこちある。つらい登りもお花畑の中の道なら全然しんどいとは思わない。 肩の小屋で標高3000メートル。今までと違って岩礫地特有の高山植物が多い。それまで、ハンドブックをめくって名前を調べても、結局名前がわからずにとりあえず写真だけ撮ってきた場合が多かったのだが、ここで、救世主の熟年おばちゃんグループが現れる。一人、やたら詳しいおばちゃんがいて、解説してくれるのだ。しばらく、そのおばちゃんについて歩いたおかげで、キタダケヨモギ、タカネマンテマなどの北岳特産種や希少種といわれるものを写真に撮ることができた。 北岳山頂は標高日本第2位にしては、わりと穏やかな感じだが、展望はさすがに抜群で、北には、ドーンと甲斐駒と仙丈岳がカッコよく迫り、その向こうには八が岳が見えるのだが、北アルプスから見える姿よりはずっとカッコよい。そしてそのはるか向こうには槍穂高が屏風のようにそびえている。南を向けば、富士山、南アルプス南部の山々(名前はあまり知らない)が連なる。下りるのが惜しくて、昼食時間も含めて1時間半も山頂にいたぐらいだ。 その日は、午後になっても珍しくガスがかからず、終日快晴。左右の大展望を楽しみながら快適な稜線歩きを楽しむことができた。しかし、北岳山荘に着くと、台風接近で悪天候になる恐れであることと、小屋は大混雑との掲示。あわてて予定を変更し、農鳥小屋まで足を伸ばす。午前中、高山植物の観察に時間をかけすぎたため、あせって歩いてしんどかったあ。 山の夜は、さすがに星空が近く見える。星がいっぱい見えすぎて、見なれた星座がわからないほどだ。天の川なんか、ほんとにミルクをぶちまけたように真っ白く見える。真東に甲府の夜景が見えるのだが、そんなに星空には影響がなく、3時頃起きて見たときなど、その甲府から、オリオン座が上ってきつつある姿が印象的だった。なにしろ、自分より下に星が見えるんだもんね。 それに、流れ星の多さにはびっくり。寒いから、あんまり外にはいなかったんだけど、しょっちゅう流れいた。ふだんは、見えないだけで、実は、しょっちゅう流れているんだろうか。それとも、たまたま、多い時期だったのか?(農鳥小屋泊) |
| 今日は天候が変わらないうちに一気に下山することにした。農鳥岳から先は、ひたすら下るのみ。大門沢小屋から、奈良田までの下りの3時間半が恐ろしく長い。目標物も何もないダラダラした下りだからうんざりする。発電所付近まできた林の中から道路に出ると、奈良田の民宿や旅館の車が下りてくる登山者を待ちかまえていた。車に乗せてもらって着いた先がたぶん奈良田で一番よさそうな旅館の「白根館」だ。 この「白根館」という旅館は総桧の立派なお風呂で24時間入浴OK。おかげで体の疲れがとれ、ゆっくり休むことができた。食事もなかなか豪華で(南アルプスの小屋の食事って質素だから余計にそう思えるんだけど)、これで1泊2食つき6000円というのは安い! (白根館泊) 奈良田には「奈良田の里」という施設があり、温泉にも入れるし、白籏史朗山岳写真記念館もある。とても感じのいい温泉だ。翌日は奈良田からJR身延駅にバスで行き、そこから東海道線に出て、大阪まで戻る。初めての南アルプスだったけど、北アルプスなどに比べて、全体的に素朴さが残ってるという感じだ。山もダイナミックさには欠けるが、ひとつひとつが大きく、懐が深い。当然、自然もまだ残されているんだろう。今度行くときは、ただ通りすぎるんではなく、どこかに拠点をかまえじっくり自然観察をしたいものだ。 |
| ○ヤマホタルブクロ ○ミヤマシシウド?○クガイソウ ○ミソガワソウ ○キタダケトリカブト ○シモツケソウ ○イブキトラノオ ○ミヤマハナシノブ ○タイツリオウギ ○ヤマハハコ? ○カラマツソウ? ○コガネギク ○トモエシオガマ ○ヨツバシオガマ ○マルバダケブキ ○タカネナデシコ ○キタダケキンポウゲ ○センジュガンビ ○ミヤマアカバナ ○ハクサンフウロ ○タカネグンナイフウロ○シナノキンバイ(又はミヤマキンポウゲ?) ○ミヤマシャジン ○カニコウモリ |
| ○チョウノスケソウ ○タカネスミレ ○イワベンケイ ○ハハコヨモギ ○キタダケヨモギ ○タカネマンテマ ○ミヤマオダマキ ○ミヤマシオガマ ○トウヤクリンドウ ○チシマギキョウ ○イワギキョウ ○コイワカガミ ○タカネツメクサ ○イワツメクサ ○シコタンソウ ○コバノコゴメグサ ○ミヤマダイコンソウ○イワウメ ○アオノツガザクラ |
他にもたくさん見てるはずだけど、確認できたのは、これだけ。いやあ、ほんまに花の宝庫だった。白馬岳に匹敵するぐらいだ。特に、お花畑の中を縫って歩いた登山道は最高!