鳥見始めいろいろ


 私が初めてバードウォッチングという言葉を知ったのは、確かフォード米大統領が来日したときだと思う。何十年前なんだろうね。この大統領の趣味のひとつがバードウォッチングで、確か富士の裾野でバードウォッチングしたことがニュースで大きくとりあげられていたはずだ。そのときの解説で、これは、もともと英国の貴族が自分の領地には何があってどんな生き物がいるのか調べてまわったことが由来などと紹介されていて、我々庶民とは縁がない趣味だなと思ったものだった。

 そんな私が実際にバードウォッチングに興味を持つことになるのは、20年ほど前、仕事関係で子ども達を低山ハイクや飯盒炊さん、虫とりなどに連れていくことが多くなり、いわゆるアウトドアの道に足を踏み入れるようになってからだ。ただ、そのときも自然観察のひとつとして鳥の名前も知りたいなというぐらいの位置づけだった。
 しかし、この1冊の本との出会いによって、状況はガラッと変わった。漫画家というよりはナチュラリスト岩本久則さんの著書「野鳥観察全ガイド」(日本交通公社出版事業局)。
 この本のおかげで、私はバードワッチング(この本ではそう表記されている)と写真撮影にのめりこんでしまったのだ。

 この本は、私にとってのバイブルだった。内容は現在広く出回っているバードウォッチングの入門書とかなり異なり、カメラやレンズの選び方から撮影(ストロボ改造、光電管使用法まで!)現像、引き伸ばし、そして8mmフィルム、鳥の声の録音と非常にメカニックかつマニアックなところまで範囲を広げている。それまで一切バードウォッチングの知識がなかった私なんぞはその教えに従い、まず300mmレンズを選んでから、カメラ本体を買い、フィルムはモノクロのトライXを使い、現像液はプロマイクロールと決め、引き伸ばし機も買ってDPEを楽しんだものだ。もっとも、後から標準ズームレンズを買い足して被写体の範囲が広がり、DPEに関しては、鳥以外の写真がほとんどであったが・・・・。

 
 久則さんの影響はこのときだけにとどまらない。何年か経って久則さんはNiftyのFBIRDのシスオペをされていたことがあるのだが、そのときも久則さんがやっているフォーラムに参加したいという思いが、私をパソ通への道にも向かわせることになった。これって、インターネットへの遠因にもなるよね。でも、結局FBIRDではなく他のネットに居着いちゃったけど・・・・。
 というわけで、もし18年前にあの本に出会わなかったら、「ばあどらんど」は現在なかったかもしれず、私が岩本さんを勝手に「心の師匠」と呼ぶ訳もわかっていただけることと存じまする。でも、DPEの器材は他人にあげちゃったし、写真撮影もだんだん億劫になってやらなくなったし、バードワッチングにしても長いことやってるわりにテキトーだし、ま、不肖の弟子ではありますな。

 しばらくは、この本を頼りに自分一人でバードウォッチングを楽しんでいたのが、やがて、日本野鳥の会の存在を知った。そしてこの会が学者や研究者の団体ではなく、私のような一般人も入ることができることを知り、1983年に入会。以後、兵庫県支部の探鳥会に参加するようになり、だんだん鳥見の範囲が広がっていくようになった。しかし、結婚して子どもが大きくなってくると、だんだん鳥見にも出にくくなり、一時中断していた。その後自然派SIGのパソ通仲間と一時盛りあがったこともあるが、今はまた停滞中。せめてWeb上でだけでも細々と鳥見への思いを残していこうと、ここに駄文を記すことになったという次第にて候。こういう軟弱な鳥見人ではありますが、テキトーにおつきあいの程よろしゅう。
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